オイルマッサージとオイルと鍼灸(はりきゅう)の役割
今日はアーユルヴェーダの「オイルマッサージの目的と役割」について、お話ししたいと思います。
私は以前、身体の不調を鍼灸(はりきゅう)治療だけで対応する限界を感じていました。
今思えば、症状の奥に潜む「毒素」への対処の手段がなかった事に対するジレンマでした。
毒素は、空気、水、食べ物、心などを介して体内に入り込み、心身へ悪影響を及ぼすもの。
鍼灸治療は、内臓に働きかけることで、それらをデトックスできるように促すことはできます。
しかし、強力な毒素に日々晒されている私たちは、それでは間に合わない、《根本的解決》は難しいと痛感し、私は解決法を探し求めていきました。
そんな中で、アーユルヴェーダと出会い、鍼灸(はりきゅう)治療に、デトックスが得意なアーユルヴェーダのオイルマッサージのアプローチが加われば、根本的解決に繋げていくことができる!と確信したのです。
そこで、Ten治療院では、鍼灸(はりきゅう)治療にアーユルヴェーダの手法の中でも、特にアビヤンガ・オイルマッサージを取り入れた施術を行うことができる体制を整えました。
なぜ、オイルマッサージにこだわるのか?
アーユルヴェーダでは、人間の心身の不調はすべて「毒素」によって引き起こされると考えます。
その概念通り、当院へ来られる様々な症状で悩み苦しむ方々への治療の基本に、いずれも体内毒素の排出、つまりデトックスのアプローチを加えています。オイルが果たす役割は症状の改善への強力な助っ人となります。
体内の毒素は、食器の油汚れのように水で流しても簡単には落ちません。油汚れは洗剤の力を借りて油汚れを落とします。体内の汚れにもそれが必要なのです。
その洗剤の役割を担うのが、実はアビヤンガ・オイルマッサージで使うオイルです。
オイルマッサージで、オイルを体内に染み込ませることで、オイルや薬草の薬効を体内へ届けて滋養すると同時に、毒素をきちんと排出させられるようにしなければなりません。
実際に不調を訴える患者さまへ切診(脈や舌やお腹や患部を診ること)すると、実は「毒素」がとても溜まっている状態が殆どです。
ただ、毒素が溜まっているかどうかだけの確認ではなく、どんな種類の毒素がどのような状態で溜まりこんで悪さをしているか?などを脈をとりながら確認して、それから行うオイルマッサージのシュミレーションを組み立てていきます。
不調を訴える人のお身体の状態で多いのが「気」の不足です。
そのため、消化を促す気の力=消化力も低下して、食べ物から栄養が吸収できず、食べたものが未消化の状態で体内に溜まって「毒素」となりやすい。それが蓄積してますます身体がしんどくなる。体内ではこのような負の連鎖が繰り返されています。
だからこそ、私は何よりもまず先に、蓄積した毒素の排泄=デトックスを促す施術を優先します。
大切なのは、デトックスを成功させるには、体内に溜まった毒素を排出するための、患者様自らの元気を高めること。そのためには、鍼灸(はりきゅう)治療の施しも、やはり欠かすことができません。オイルマッサージと鍼灸(はりきゅう)治療の相乗効果が必要です。
オイルマッサージの効果を高めるために
体内の毒素が溜まっていくと、全身を網羅する経絡・スロータス(エネルギーや血液などの通り道)を通って、毒素は恐ろしいことに内臓や骨まで侵入してしまいます。
ですから、身体は毒素をすみやかに排出するように、大便や尿・汗・呼吸・皮膚などのいろいろな方法で吐き出そうとします。その吐き出しがスムーズにいけば問題はありません。
しかし、内臓にデトックスできる元気がなければ、毒素が詰まり込んでしまうと、いっぱいになったゴミ箱からゴミが溢れるように、溢れた毒素が厄介な症状を引き起こしていくのです。
その問題は、針治療で経絡を介して、内臓がスムーズにデトックスできるように働きを助けることで解決します。
その上で、より速やかに毒素の処理を行うためにも、アーユルヴェーダのオイルマッサージという手段はとても有効なのです。
実は、セサミオイルは内臓のダメージの修復もしてくれる優れもの。
特に、「肝臓や腎臓」は毒素を分解して無毒にしたり、毒素を濾すフィルターの部分です。肝臓や腎臓は常に毒素によるダメージも大きいですし、ここが弱ると処理できない毒素が全身を巡ることになるので、とても「肝腎・カンジン」な場所です。
だからこそ、私の場合はオイルマッサージを施す際に、オイルをきちんと肝臓や腎臓などの内臓まで行き渡らせていくための治療のステップを踏んでいきます。
お肌にも消化力が必要
ここで皆さんに知って頂きたいのは、お肌にも消化力があるということです。お肌の消化力とは、オイルを吸収する力のことです。
せっかくオイルマッサージでお肌からオイルを吸収させようとしても、「お肌の消化力」がないと奥へしっかりと吸収させることができません。
アーユルヴェーダのオイル効果を発揮させるためにも、マッサージを行う際には、皮膚の消化力を高めながら施術を行います。
そこで、お灸治療の出番です。
お灸はアーユルヴェーダでは「アグニカルマ」といって、アグニ=火のエネルギーそのもの。
消化の力は、アグニの力ですから、そのアグニを高める有効手段として、身体にお灸を据えるアプローチはオイルマッサージと併用することで、消化力はパワーアップします。
それと同時に、内臓を温めて元気にしてくれます。
生理痛や不妊症などの婦人科疾患や、冷え症、便秘、胃の弱りなどの症状をお持ちの方にも、とてもお勧めですよ。
そのように、身体の状態をよく把握しながら、それぞれ個人の身体に対して必要なことに素早く応じながら対処していくことで、オイルマッサージの効果はぐんと高まります。
アーユルヴェーダのオイルマッサージに、なぜ鍼灸(はりきゅう)の治療が加わっているのか?
それは、心身の不調を取り除く治療でありながら、アーユルヴェーダの持つ優れた効果と深い癒しも得られる。
こんな世界を実現させたかったからです。
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